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『墨攻』 酒見賢一

百家争鳴といわれた中国戦国時代の墨子を祖とする墨家を題材にした架空の物語。
その主人公革離がいままさに攻められようとしている小城に乗り込み、守城を指揮する。戦争指揮の全権をとった彼は、猛烈な勢いで、陣頭指揮をとる。攻める敵はプロ、守るこちらは素人集団。いかに備えるか、その子細が面白い。

-結局、守禦術の極意は民心の統御なのである。民に不満を起こさせたり、疑惑を抱かせたりすることが敵よりも恐ろしい。そのためには信賞必罰を旨とし、決して不満を起こさせないようにする。つねに民の和合を計るように気を配る。民心の和合こそがいかなる守城設備より重要なものであった。これさえあれば土塁も堅城となり、城は不落の要塞と化す。

もうひとつのおもしろさは、墨家という思想集団の考え方、社会のとらえ方である。中堅幹部たる革離の理想とリーダーたる田巨子とそのブレーンの考えのずれが、革離の仕事ぶりの何ともいえない虚しさのような気分をかたちづくっている。この墨家の思想こそが、墨守であり、本書のタイトル墨攻である。

現実を見ると、この墨家の思想はほとんど生き残ることがなかった。時代と社会の大きな波に逆らうかのような面が思想を飲み込んでいったのであろうか。この小説の中では、物語の進行の合間にそうした墨家独自の思想も紹介してくれるので、物語を離れて墨家そのものへの一層の関心が深まるしかけになっている。

困難に飄々と立ち向かう革離の姿は、ページに挟まれる何ともかわいげのある挿絵の風味とあいまって、ひきこまれるものがある。小品ながら、味わい深い一品だった。


墨攻 (新潮文庫)墨攻 (新潮文庫)
(1994/06)
酒見 賢一

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面白かった本があると連想的に関連する本を読む傾向があります。
通勤電車の中(居眠りしながら)が主な読書時間です。

 

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