FC2ブログ

2018-12

Latest Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『夏草の賦』 司馬遼太郎

戦国時代は面白い。土佐から四国を征し、やがて天下をねらう長曾我部元親。そもそも長曾我部という長々しい姓もそうだが、土着の田舎くささがとてもよい。痛快といえる上巻から、あと少し時代が早ければ、あるいは土佐でなければ、という悲痛な願いもかなわず、天下統一に進む織田信長、そして豊臣秀吉に絡め取られていく下巻。

前半は妻菜々との絆を軸に四国切り取りの物語が進行していく。べらぼうに強い、といのではなく、何とか負けないようにと腐心して、勝ち戦にもっていく。自らも自覚しているとおり、臆病でいて、そのくせしたたかで、野心が強く、己の強さを自負している。何ともいえない性格なのだが、読むほどに引き込まれていく。また、無鉄砲で好奇心の強い性格の菜々とのやりとりが面白い。この明るさは下巻になっても物語の底流にあって、引き込まれる。まさに司馬遼太郎ならではの人間描写のうまさがここにある。

天下をねらうにまず四国平定から、とばかり切りしたがえていくのだが、あと少しというところで織田信長の干渉が入る。土佐一国の本領安堵と引き替えに四国を渡すなどできるか。そもそも、今まで手柄を立ててきた部下への恩賞もままならないことになってしまう。膝を屈して生き延びるか、難事に体当たりするか。元親の苦渋の選択は?

決して爽やかとはいえないが、かといって自身のいわゆるプライドを捨てて変わり身をするような人物でない長曾我部元親という男の戦略や考え方がよくわかって面白い。そして戦疲れをしたかのような後半生での世に対する無関心は、戦国という時代の終わりと、天下統一なって後、政争が新たな戦いとなっていくなかで、組織の中で生きることを自らよしとしない頑迷さもあって、じゅうぶん心情として共感しうるのだ。

夏草に見る今はなき兵たちの夢も、やがて元親の息子盛親の代で終焉を迎える。面白くて、やがて何とももの哀しいような、一編。

夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫)夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫)
(2005/09/02)
司馬 遼太郎

商品詳細を見る


夏草の賦 [新装版] 下 (文春文庫)夏草の賦 [新装版] 下 (文春文庫)
(2005/09/02)
司馬 遼太郎

商品詳細を見る
スポンサーサイト

テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://yeria2.blog29.fc2.com/tb.php/18-2832c173

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | ホーム |  »

プロフィール

yeria

Author:yeria
つれづれなるなるままに。
面白かった本があると連想的に関連する本を読む傾向があります。
通勤電車の中(居眠りしながら)が主な読書時間です。

 

最新記事

最新コメント

 

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

最新コメント

 

FC2カウンター

 

検索フォーム

 

 

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

 

QR

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。